2006年08月11日

不倫物語〜その3〜

 「まったく、あのじじいは何を考えているんだろうね?」

 この家の母親が中3の次女に向かって言う。

 「放っておけば。」

 この家の次女が興味もなく答える。

 「ああ、腹立つ!」

 そこへ、飛んで火にいる夏の次男が来る。この次男は、大学四年らしいが、就職はせずに大学院に進学するらしい。しかも、教授から「院で勉強してみないか?」と誘われ、推薦でもう進学が決まったという。その次男に向かって、次女が、

 「お父さん、携帯見せないんだって。不倫してるかもね。」

 と、笑いながら言う。次男は、冷蔵庫から牛乳を出してごくごく飲み、何も聞いていなかったかのように、部屋に戻ってしまった。

 「何だ、あれ? 何とか言え!」

 この家の母親が文句を言う。そこへ、この家の長男がくる。ちなみに、この長男はまだいわゆるフリーターである。しかも、就職しようとする意思がほとんど感じられず、極めてニートに近いものである。

 「お父さんに携帯見せろって言え!」

 と、母親が長男に言う。すると、長男は、

 「うるせえな、そんなら、お前も不倫しろ!」

 と、怒鳴る。何故そうなるのか。こういった「目には目を」的な思考に容易に向かう人間は、我輩の思うに、馬鹿である。あらゆる紛争の解決の道を閉ざし、あるいは、揉め事をさらに悪化させる、愚かな人間である。


 次男に無視され、長男に文句を言われ、この家の母親は、「そうやって、誰もお母さんの味方してくれないんだ。」と嘆く。

 そんな母親が取った行動は、中々映画的なものであった、、、。(続く)
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2006年08月09日

不倫物語〜その2〜

 「何で携帯の音を鳴らさないのか?」

 この家の母親が、絵を描いている父親に向かって言う。

 「マナーモードにしているだけだ。」

 と、この家のトウヘンボクたる父親が嫌そうに答える。が、質問には全く答えられていない。噛み合わぬ国会の答弁のようである。

 「じゃあ、携帯見せて。」

 と、この家の母親。そう言って、トウヘンボクの方へ手を伸ばす。なぜなら、携帯はトウヘンボクのふところに閉まってあるからなのである。

 「何でだ? そんな、人の携帯を見て楽しいか?」

 と、トウヘンボク。またまた、噛み合わぬ国会の答弁のようである。無論、糾問している議員に向かって、そんなことして楽しいか?と反論した議員はいなかったであろうが、、、。

 「ちょっと見るだけ。はよ、貸さんか!」

 と、目をキッとさせてこの家の母親が言う。

 「駄目だ。おれにもプライバシーってものがあるからな。」

 と、トウヘンボク。すると、近くにいた中学生の次女が、

 「携帯を見せられないのは、見せられない理由があるからじゃないの?」

 と、真っ当な論理を述べる。「そうだ、そうだ!」と母親。我輩も、とうとうこのトウヘンボクもこの次女の一言により携帯を出さざるを得なくなったか、と思ったところである。

 が、トウヘンボクは、「そうじゃない。」と言うのみであった。そうでなければ、では、何なのか、と我輩は疑問に思ったところ、ちょうどよく、この家の母親が、じゃなんで見せないのか?と尋ねた。

 すると、トウヘンボクは、絵を描きながら、

 「人の携帯をいちいち見るような人間はろくな人間ではない。」

 と、母親や次女を教え諭すように、堂々と言った。しかも、少々にやけている。

 我輩は、このとき、一瞬、頭の中がぽっか〜んとした。このトウヘンボクは今しがた携帯の件で窮地に立たされていたように思われたのであるが、それが、全く余裕の表情であるばかりか、逆に、二人に訓戒を授けたのである、、、。   (つづく)

 
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2006年08月07日

不倫物語〜その1〜

 今回は特別に、我輩の住む家で起こっている新たな紛争について、連載してみようと思う。

 実は、我輩の住む家の父親と母親は、とあることで揉めているようなのである。それは、この家の父親が他の女と密会しているのではないか、というものである。これは、人間の言葉では、不倫というものであるらしいが、中々珍しいトウヘンボクたるこの家の父親と、常人では考えられないような思考過程を有するこの家の母親の戦いであるから、我輩は興味深く観察していたのである。

 我輩の感ずるところでは、この家の父親の行動は頗る怪しいのであって、この家の母親が疑念を持つのも無理からぬものと思っている。

 当然の如く、この家の父親は断固として否定をし、一方、この家の母親は深い疑念の眼差しで、この家の父親の顔を睨んでいるのであるが、、、。

 そもそも、この紛争が勃発したのは、この家の父親の不審な行動からであった、、、。   (続く)

 
posted by 我輩 at 13:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月28日

怒る長男〜その2〜

 以前、サッカーW杯のオーストラリア対日本の試合で一人怒っていたこの家の長男であるが、クロアチア対日本の試合でも、一人怒っていた。

 試合が終った後、試合の解説者が、

 「これで、日本は次のブラジルとの試合で勝たなければならなくなりました。」

 と、いうようなことを言っていた。すると、この家の長女が、

 「あはは。ブラジルに勝つなんて無理だよ。」

 みたいなことを言う。我輩は、今にも暴れそうな長男を逆なでするようなこの長女の発言に、余計なことを言うなと思った。長男は、何も言わずテレビの画面を睨みつけている。何も言わぬのが、かえって突然爆発しそうで恐ろしい。すると、この家の長女が、

 「でも、これである意味、日本もブラジルと戦えるんだから、いいんじゃない。」

 と、また余計なことを言う。この家の母親も、

 「そうだね。ブラジルとW杯で戦うなんて、普通、決勝とか行かないと無理なんだし。」

 と、加わってくる。すると、長男が、

 「あ? 何言ってんだ?」

 と、今にも飛び掛りそうにして言う。

 「何って何?」

 と、長女。

 「今、これである意味、ブラジルと戦えてよかったって言ったじゃねえか。これでって何だよ! どういう意味だ、言ってみろ!」

 と、怒鳴る。

 「これで、何て言ったっけ?」

 と、長女。今しがた自分で言ったことをもう忘れている。それが、長男を余計苛立たせたのであろうか、

 「今、言っただろ! その、「これで」の「これ」って何を指してんだよ、言ってみろ!」

 と、叫ぶ。

 「これで? 別に何も指してないよ、馬鹿じゃないの。」

 と、長女。

 「「これ」と言うからには「これ」は何かを指してんだろ!」

 と、長男。

 「むかつく!」

 と、長女。

 「どうせ、「これ」って言うのは、日本が負けたことを指してたんだろ!」

 と、長男。そう言って、リモコンテーブルに叩き付けた。リモコンは、パッチーンと音を立てて、中から電池が飛び散り、カーテンの方に吹っ飛んでいった。

 これだから、我輩は、嫌なのである。人間には手のひらサイズでしかないリモコンでも、我輩には、意外とでかいのである。それが、高速で飛び散るのであるから、その危険性は言うまでもない。テポドンである。いや、テポドンは言いすぎであるが、バッドで殴られるくらいの衝撃はあろうかと思う。

 因みに、ブラジル対日本の試合は、この家の長男は見ないであろう、と我輩は思っていた。なぜなら、その試合は朝の4時くらいから行われるということであったから、いつも起きるのが遅い長男は、起きてこないであろうと思ったからである。

 が、四時ぴったりに起きてくるではないか。この家の父親と一緒になって、テレビを見ている次第である。この家の父親は、毎朝4時に起きるという変人であるから、驚きはしないとしても、この家の長男が起きているとは、思わなかった。

 試合は、ブラジルに何点も取られて、さぞ怒っているだろうと思ったが、そうでもなかった。あまりに点を取られすぎて、怒る気にもなれなかったのであろうか。
posted by 我輩 at 00:19| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月16日

怒る長男

 この前、この家のふらふら長男が、サッカーのW杯の日本対オーストラリアを見て、一人で怒っていた。

 サッカーしか能がない人間である。だからなのかもしれないが、オーストラリアに一点目を入れられた時から、機嫌が頗る悪い。

 「何で、あそこで小野を入れたんだ!?」

 と、何度も怒鳴り散らしていた。

 「あそこで大黒とか玉田とか入れるのが普通だろうが! 両サイドにスペースがあるんだからよ! オーストラリアにとって一番嫌なのは、元気のあるフォワードが入ってくることなんだよ!」

 みたいな、分けの分からぬことを、画面に向って喚きたてていた。丸めた新聞紙でテーブルをどかどか叩いて、非常にうるさかった。こういう人間こそ、近くにいて迷惑な人間というものであろう。

 「うるさい!」

 と、中学生の次女が、たまりかねて文句を言う。すると、

 「うるさいのは、お前だ!」

 と、また怒鳴る。が、うるさいのは、お前である、と我輩は言いたかった。

 「ジーコの馬鹿野郎!」

 と、長男。

 「ジーコだって必死にやってるんだから、馬鹿なんて言うものではない。」

 と、どこからかこの家の父親の声がする。周囲を見渡すと、部屋の隅っこのソファで横たわっていた。影の薄い人間である。声を出すまで同じ部屋ににるとは思わなかった。

 結局、日本は3対1で負けた。後半の残り10分で三点入れられ、逆転負けであった。

 その後、この家の長男が、壁やテーブルなどに対して、八つ当たりをしたことは、言うまでもない。

 

 
posted by 我輩 at 19:07| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月08日

不気味な次男

 昨日の夜、大学生の次男の寝ている部屋に忍び込んだ。

 すると、次男はうなされていた。我輩は、恐くなり、音を立てずに部屋を出た。

 最近の次男は、誰ともあまり口をきかない。ふらふら長男の冗談に、この家の他の者たちが笑っても、この次男は苛々したような顔をしている。何を考えているのだろうか、、、。

 
 
posted by 我輩 at 22:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月05日

愚かな犬

 我輩の住んでいる家には、ジョンと言う犬がいるが、最近気づいたのは、このジョンの耳の動きが、冷蔵庫の開く音に敏感に反応しているということである。

 昨日の夜も、中学三年になったこの家の次女が冷蔵庫を開けたとき、ジョン氏の垂れた耳がピンと真っ直ぐに伸びた。そして、頭をぬうと上げ、冷蔵庫の方を見据えていた。

 条件反射という言葉があるが、まさにそれである。我輩も食い物には敏感だが、あそこまでひどくはない。

 また、ジョン氏は、「散歩」という言葉を聞くと、きゃんきゃんと鳴いて居てもたってもいられないという状態となる。尻尾を振り回し、玄関の方へ突っ走り、飛び上がりながらドアをがりがりと引っ掻く。酷いざまである。

 このジョン氏の習性をもてあそんでいるのが、卒業後も定職に就かずふらふらしている長男である。ことあるごとに、

 「散歩! 散歩!」

 と、ジョン氏に向って言う。ジョン氏は、きゃんきゃんと喚き、玄関に向う。無論、ふらふら長男は、散歩に行くわけもなく、ただゲラゲラ笑っている。ジョン氏は、しばらく玄関で騒いでから、諦めて、とぼとぼと部屋に戻ってくる。

 何度もふらふら長男の同じ手に引っ掛かる。馬鹿ではあるまいか。何度このふらふら長男に騙されれば気が済むのであろう。幾度も幾度も長男に騙されるその光景に、我輩は驚き、呆れ、そして、今では、痛ましくさえ思う。

 
posted by 我輩 at 18:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする