2006年10月24日

酒を捨てる

 今日、この家の母親が、

 「あれ、私の酒がない。どこだ? どこだ? ない。冷蔵庫に入れておいたのに。」

 と、喚きながら、台所をウロウロしている。そして、

 「あの野郎に決まってる! あのくそじじい!」

 と、言ったかと思うと、冷蔵庫から一本の酒を取り出し、「こうしてやる!」と、流しにドボドボと中の酒を捨て始めた。その酒は、言うまでもなく、トウヘンボクのものである。

 それを見ていた大学一年の三男が、「もったいねえー。」と、言うと、この家の母親は、

 「女ってのは、恐いんだ。気をつけろよ!」

 と、言って、にんまり笑った。

 そして、しばらく何やら台所でゴソゴソしていたかと思うと、この家の母親が、

 「あ、あった。」

 と、言い、探していた己の酒瓶を手にしている。どうやら、勘違いであったようである。

 (終) 
posted by 我輩 at 23:56| Comment(6) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月12日

朝まで生テレビという番組(3)

 田原氏と爆笑問題という漫才コンビの背の高い方の話の続きから、、、。


 「田原さんは、大変な愛妻家なんですよね?」

 爆笑問題という漫才コンビの背の高い方が田原氏にたずねる。

 「恐妻家だよ、恐妻家。」

 と、田原氏が答える。これを聞いたこの家の父親であるトウヘンボクは、「そうそう、おれと一緒だ!」と、うれしそうに言う。

 「でも、奥さんがなくなられたとき、自分も自殺しようと思ったんですよね?」

 と、爆笑問題の背の高い方が聞き返す。

 「ああ、死のうと思ったけど、娘に止められたんだよ。」

 と、田原氏。

 「そりゃそうでしょう。」

 と、爆笑問題の背の高い方が言う。トウヘンボクは今度は口をきっと結んだままでいる。我輩の勝手な推測であるが、トウヘンボクは、自分が死のうと思ってもこの家の家族の中に止めてくれるものがいるのか、無性に不安になったものと思われる。

 「私はね、もう、妻が死んでからは、健康診断も何も受けていないんですよ。」

 と、田原氏。

 田原氏が「恐妻家だよ。」といった時に、安易に賛同してしまったトウヘンボクは、ここにおいて、氏が恐妻家ではなかったことに気付いたようである。「なんだ、相当な愛妻家だな。」と呟き、がっかりしている。

 すると、後ろのほうから、

「あらまあ、健康診断は受けなきゃねえ。田原総一郎がいないと、日本のジャーナリズムはぼろぼろじゃないの。」

 と、この家の母親が遠くから大声で言う。

 「おれも、今度の健康診断を受けないとな。」

 と、トウヘンボク。すると、この家の母親は、

 「あんたは、いつぽっくりおさらばしてもいいようにちゃんと保険に入ってるから大丈夫だよ!」

 と、叫んだ。

 ひでえ会話である。我輩も飼い犬のジョン氏もよく今までこんな家に住み続けられたものである、、、。
posted by 我輩 at 21:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月09日

朝まで生テレビという番組(2)

この前、爆笑問題というコンビのテレビがやっていたので、この家の者と一緒になって見ていたら、朝まで生テレビで司会をやっていた田原総一郎氏が突然現れた。

 爆笑問題の背の高い方と政治の話をしている。

 「今の日本は全体が右傾化してるんです。日本のサッカーとか野球なんかでも、外国を負かしてみんな喜ぶでしょ。それもみんなナショナリズムなんですよ。」

 と、田原氏。例のごとく、べらべらと話し出した。すると、テレビを見ていたこの家の大学生の次男が、

 「スポーツにおける自国の応援と政治的なナショナリズムを同一に考えるのは、ややおかしい。」

 と、言い出す。我輩は、この家の次男が久しぶりに口を開いたので、耳をでかでかにした次第である。

 「何でだ? スポーツも一緒だ。戦争になると、みんな相手の国を負かして喜ぶんだ。一緒だ。田原総一郎が言ってることは正しいぞ。」

 と、この家の父親たるトウヘンボクが、口をはさむ。

 「スポーツで自分の国を応援した人が、戦争においてもナショナリズムに陥るなんていう法則はないよ。直感的なものに過ぎないよ。そもそも、スポーツにおける勝負は、お互いの選手が公平なルールに則って正々堂々とやるわけで、確かに相手国を負かすという点で戦争の場合と共通点はあるかもしれないけど、次元が全く違うよ。」

 「そうか?」

 と、トウヘンボク。

 「そう。それに、スポーツの場合、負けた相手にも拍手を送る場合だってあるでしょう。ナショナリズムというのは排他性に本質があるんですよ。相手の健闘をたたえるために拍手を送るのは、相手の国のことも受け入れているってことでしょう。一部のフーリガンみたいなのは、どこの国にも少しはいるんです。ああいうのを見たりして、ナショナリズム、ナショナリズムというのは少し過敏すぎるんじゃないのかな。」

 と、次男。

 「そうか? そうかもな。」と、トウヘンボク。田原氏が正しいと言っていた先程の己の主張は、まるでなかったようでありました、、、。(続く)
posted by 我輩 at 15:32| Comment(4) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月04日

朝まで生テレビという番組(1)

 お盆にて親族集まるの話を続けようと思ったが、止めた。なぜなら、我輩の鑑賞し誹謗中傷する対象は、この家の家族だけで十分であるからである。

 では、最近のこの家の状況を書いてみよう。

 先週の土曜、深夜になってもテレビがついていたので行ってみたら、父親たるトウヘンボクと、この家の長女と、大学生の次男が画面を見つめながらソファに座っていた。

 何を見ているのか、と思ったら、変な討論番組であった。司会は田原総一郎というジャーナリストで、その両側にざっと国会議員や学者が座っていた。

 こんな夜中に、があがあと騒いでいる人間らがいるとは、我輩にとってはやや驚きであった。

 もっと驚いたのは、司会者が最もがあがあ騒いでいることであった。司会者というのは、議論の進行を円滑にする役割を果たすもの、と我輩は思っていたので、やや斬新であった。

 話している内容は、政治に関することだった。参加者の発言に対して、トウヘンボクがしきりに「そうじゃない、そうじゃない。」とぶつぶつ言っている。そして、この家の長女から「うるさいんだけど。」と文句を言われている。

 そんなに面白いのかと思って、我輩も一緒になって見ることにした。

 しばらく見ていたが、先ほどの繰り返しになるが、やたらと司会者がしゃべる。どうやら、新しく総理の座についた安部晋三氏のことを言い合っているようであった。
 
「安部さんは、改革者として行動しなければならない。でも、小泉総理の改革を引き継がなければならない。これは、ある意味、矛盾しているんです。」

 こんなようなことを、村田晃嗣というちょび髭を生やした同志社大の教授が言っている。我輩としては、なるほど、と思いつつも、だから何なの? という感じでもあった。

 一般的に学者の発言は、なるほど、と思わせるが、だから何なのだろう?という類が多い。

 第一、なぜ、ちょび髭を生やしているのであろうか。我輩としては、安部氏の思想信条についてより、むしろ、氏の美的感覚について、田原氏に糾問してほしいところであった。

 毛を立派に手入れしていいのは、わが猫族だけである。なぜというに、わが猫族は、日々、己の毛を美しく保つために、己の毛をペロペロなめている。己の毛をペロペロ舐めるほどの愛情を注いでこそ、毛を生やす資格があるのである。

 村田氏は、己の毛に対してわが猫族ほどの愛情をお持ちだろうか? どうせ鏡の前で己の髭を、ハサミか何かで整えるくらいが関の山だろう。それだけでは、毛に対する愛情があるとは言えない、、、。  (続く)

 
posted by 我輩 at 17:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月28日

お盆にて親族集まる(4)

 トウヘンボクの番といいながら、我輩は、こやつが何と話していたのか、忘れてしまった。何度か思い出そうと試みたが、無理であったし、そもそも、印象に残らない話であったのであるから、仮に思い出したとしても、大した話ではなかろう。加えて、以前まで、不倫につき夫婦で争っていた者である。思い出してやる必要もない。

 かろうじて覚えているのは、他の二人の話が子供世代の輩に何らかの教えを与えようとするものであったのに比して、トウヘンボクの話は、どうでもいい己の近況報告のような話であったような点である。

 そうそう、そういえば、「私は退職したら、友人の経営する画廊つきの喫茶店で、自由に絵を書かせてもらうことになっています。」などとトウヘンボクは言ってたなぁ。

   

 トウヘンボクの話が終わると、みな飲み食いしながら、談笑し始めた、、、。(続く)

 
posted by 我輩 at 16:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月19日

お盆にて親族集まる(3)

 次は長年企業に勤めた叔父公の話であったが、我輩は記憶力が乏しいため、忘れてしまった。唯一覚えているのは、

 「テレビなんか見てると、60くらいの人間が偉そうに話しているけど、おれもあんなふうに偉そうに話していいのかなあ、なんて思ってます。」

 などということを言っていたことくらいである。偉そうに話していいのかななどという以前にもう既に偉そうであるが、そこは還暦祝いでもあり、厳しく言及しないでおこう。

 そして、最後はトウヘンボクの番であった、、、。  (続)
posted by 我輩 at 16:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月12日

お盆にて親族集まる(2)

 その叔父公は、遠くを眺めるようにして話し出した。

「おれはずっと大学を卒業してから教師をしてきましたが、非常に充実していました。ここまでよくやったものだと感じています。今はジムでエアロビを習っています。健康のためにであります。」

 この厳めしい体格の叔父公が、ハイカラなリズムに乗って手足をバタつかせながらぴょんぴょんと跳ねているところを創造した我輩は、思わず、ぷっと思ったものである。

「エアロビといっても、恥ずかしいことなんて何もないんです。周囲は年寄りばかりですが、中には、恥ずかしいからやらないなりたくないなんて言っている人もいます。でも、おれはそういう人には、恥ずかしいことなんて何にもねえんだよ、あなたのところなんて誰も見てないよ、恥ずかしいと思うからは恥ずかしいんであって、普通にやってれば何にも恥ずかしいことはないんだよ、と言ってやるんですよ。」

 叔父公は続ける。最初の元校長の爺のあいさつよりは、具体的な経験であって面白い話である。

 「おれは、ずっと教師をやってきて今思うのは、若い人、今ここにもたくさんいますが、若い人には早く定職について働いてもらいたいと思います。今はフリーターとかニートなんて言葉がありますが、やっぱり働いてきて、今勤めを終えて、振り返ってみると非常に充実した気分であります。」

 叔父公は続けた。我輩は、今の叔父公の言葉は、いまだ定職にもつかずにふらふらしているこの家の長男にとっては、さぞ居心地の悪い一言であろうと思い、ふらふら長男の方を見たら、ふらふらは叔父公の言葉を聞くと、眉毛を上下に動かしたり、鼻の穴を拡大させたりして密かにふざけ出した。

 因みに、我輩の驚いたことには、この親族の中の子ども世代の中で、定職に付くべき年齢に達しながら未だ働いていないのは、5人中4人だったらしい。すなわち、この叔父公の話は、ふらふら長男のみならず、ふらふらしている他の者にも向けられていたというところであった。  (続く)
posted by 我輩 at 19:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月09日

お盆にて親族集まる(1)

 お盆のことである。

 この家の家族は、親戚みんなで集まるからということで都内の旅館宿泊へ行った。

 我輩は、つまらぬ会話しかできぬジョン公と二人で家にいるのも嫌だったので、旅館の方へ行ってみた。この家の家族の親戚にどんな人間がいるかも、やや興味のあるところであった。

 旨そうな料理の並んだ座敷を襖の間から覗き込むと、20人ほどの人間がいた。そして、その中の一人が演説のような言葉を述べている。誰かと思ったら、以前にも紹介したことのある元校長たる爺であった。
 
 が、その話の硬いこと、そして長いこと。「ええ、本日はこうしてお集まり頂き誠にうれしい限りでございます。」などと言い、五分も十分もどうでもいい話をしている。

 それにしても、旨そうな魚を目前にしながら、こんなつまらぬ話を聞いていられる人間の忍耐力には、やや敬服したものである。ここが我が猫族を始めとした動物と人間の大きな相違点であろうか。

 やっと爺公の話が終了し、みながやっと飯にありついた頃、

 「それじゃあ、還暦祝いの言葉を一つ、お三方に言ってもらいましょうか。」

 と、この家の母親の母親、即ち、ばあ様が言う。ばあさんの言う三人とは、今年で60才を迎えたトウヘンボクと、同じく60を迎えた近所の親戚の叔父公二人らしい。

 まず、トウヘンボクの隣に座っていた叔父公が「では。おれから。」と立ち上がり、話しだした、、、。   (続く)
posted by 我輩 at 15:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月07日

不倫物語〜終わり〜

 長きに渡り、不倫物語と題して書き連ねてきて、ここにおいて終止符を打とうと思うのであるが、実は、終わり言えるような完結的な出来事はないのであり、ただ、この家の父親と母親の間に冷たい雰囲気が漂っているだけなのである。

 トウヘンボクはといえば、呑気に詩などを書いている。何の詩かと思って覗き込んでみたら、宮沢賢治氏の『雨ニモ負ケズ』という詩が書かれた紙の横に絵を書いている。

 我輩は、呑気にしているトウヘンボクにどことなく腹が立ったものだから、トウヘンボクが部屋から出て行った隙に、落書きをすることにした。宮沢賢治氏には申し訳ないが、ちと詩の内容を訂正してみたものである。

 『雨にも負けず』

雨にも負け

風にも負け

雪にも夏の暑さにも負け

丈夫な不潔なからだをもち

慾はなく勿論あり

決して怒らずばれぬよう

いつも静かに笑っている女とメールをしている



一日に玄米四合と

味噌と少しの野菜猫の餌を食べ

あらゆることを

自分を勘定に入れずに

よく見聞きし分かったと思ったが

そして忘れず全部忘れた


野原学校の松の林の陰の

小さな萱ぶきの鳥のフンだらけの小屋にいて

東に病気の子供生徒あれば

行って看病カンチョウしてやり

西に疲れた校長あれば

行ってその稲の束を負い禿げ頭を撫で

南に死にそうな教頭あれば

行ってこわがらなくてもいい生徒も喜びますよといい

北に喧嘩や訴訟があれば

つまらないからやめろといいどれどれと見に行く




日照りの時妻に怒られては涙を流し

寒さの夏はおろおろ歩き

みんな家族でくのぼーとうへんぼくと呼ばれ

褒められもせず

苦にもされず馬鹿にはされて

ついでに子供にも相手にされず

そういうものに

わたしはなりたいおぬしはなっている


 我輩は、書き終わると一目散に逃げた。その後、部屋に戻ってきたトウヘンボクがどう思ったかは我輩の知ったことではない。   (完)
posted by 我輩 at 19:23| Comment(0) | TrackBack(2) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月01日

不倫物語〜その7〜

 最近、トウヘンボクは、よく家の中を掃除している。タンスの中の服を取り出しては、一枚一枚丁寧にたたんだり、物置の中を整理したり、車のトランクの中を掃除したりしている。

 我輩は、最初、トウヘンボクはこんなにきれい好きだったかなと疑問に思ったのであるが、少し考えて、ははーん、そういうことか、とその似合わぬ行動の理由に気づいたのである。

 トウヘンボクは、この家の母親に掴まれた己の不倫の証拠たるカセットテープを探し出そうとしているのである。

 大体、この家の母親から着替えを出されぬ限り延々と同じをパンツを履き続け、背広の肩にはフケが目立ち、髪もモジャモジャであるトウヘンボクのような人間が、自主的に掃除を開始するはずがない。

 もし、あちこちと部屋の中を探し始めれば、「何探してるの?」と次女などに聞かれるかもしれぬから、誰にも気づかれぬように穏便な方法で捜査しているというところであろう。

 一見、掃除という善行に見せかけているところが、狡賢いものである。

 まさか、この我輩にもう見破られているとは、思いもしないであろう。我輩はお前如きのする行動なぞ、すべてお見通しなんや。黙ってて欲しければ、キャットフードの品質をレベルアップしろや。我輩の餌代、ケチるなや。
 (続く)
posted by 我輩 at 18:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月30日

不倫物語〜休憩〜

 不倫如きものに、過去6回も使ってしまった。我輩も、こんなつまらないものに、いつまでも時間を使うほど愚かではない。最大でも〜その8〜までで書ききろう。

 そして、その後は、お盆での出来事でも書いてみようか。  (休)
posted by 我輩 at 13:02| Comment(0) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月27日

不倫物語―その6―

 トウヘンボクといえども、一応我輩がこの家に住むことを許可してくれたという意味で、我輩の一応の恩人とも言え、あまりトウヘンボクの責ばかりを書いているのも悪いかも知れぬから、トウヘンボクにとって助け舟となるようなことも報告しようと思うのである。

 それは、些細なことかも知れぬが、こんなことがあった。我輩は、この家の母親と長女が会話をしているのを聞いただけであるが、、、。

 「あんたはどっちの味方なんだ?」

 この家の母親が長女にたずねる。

 「お父さんの味方に決まってるでしょ!」

 この家の長女が何故か怒って言う。

 「あんなくそじじいの味方するのは、何でなんだ?」

 「いつも、干渉ばかりしやがって。」

 と、長女がいう。最近は、この家の母親と長女はよく、帰り時間が遅いとか遅くなるのに連絡がないとか、そんな口論ばかりしている。それで、この家の長女は腹を立てているのである。つまるところ、この家の父親の肩を持つのは、この家の母親自身が嫌いだからというものであって、私怨により客観的な判断をなし得ない人間の典型であろうか。

 「何でだよう? それはあんたが悪いんでしょ。帰りが遅くなるときはメールしろっていつも言ってるでしょうに!」

 この家の母親の批判対象が、この家の父親から長女の素行へと移動する。この家の長女は、「むかつく」と言い残して、自分の部屋へ行ってしまった。

 要するに、トウヘンボクにも、この家の長女という味方がいたのであって、完全に孤立しているわけではないのである、、、。   (続く)
posted by 我輩 at 16:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月21日

不倫物語〜その5〜

 「女と会ってたな?」

 ご飯を食べ終わった夜の九時頃であろうか、この家の母親が、この家の父親に言う。 

 「何のことだ?」

 と、とぼけた顔で振り返るトウヘンボク。普通に振り向いてもトウヘンボクであるのに、それがとぼけた顔をして振り向くのであるから、何と言おうか、、、中々形容しがたいものである。強いて言えば、飼主から餌をもらう前、その餌を放心して見つめる犬族の馬鹿面と似ている。

 「とぼけるんじゃない。こっちには証拠があるんだからねえ。」

 「証拠? どんな証拠があるんだ? あるなら出してみろ。ほら、出せないのか? ほら、やっぱりないんだろう。ないに決まっている。」

 「ないに決まっている」と言いながら、目の前にいるこの家の母親が何か出すのではないかと手の辺りを凝視している。

 「テープに録音してあるんだよ。車の中で二人が話しているところを。」

 この家の母親が得意そうに言う。

 「どれ、じゃあ、出してみよ。」

 「テープは隠してある。」

 「何だ? ないんだろう?」

 「相手は、○○さんという人だねえ。そう呼ぶ声が聞こえたよ。」

 この家の母親がそういうと、トウヘンボクはその出目金をさらに一瞬拡張させた。やはり人間というものは、動揺が顔に出るものだと、脇で見ていた我輩は思ったものである。

 「返せ! 返せ! どこだ? どこに隠した!」

 と、トウヘンボク。

 論より証拠とは、こういうことを言うのであろう。証拠を突きつけられた途端、さすがのトウヘンボクも追い詰められたようである、、、。 (続く)

 
posted by 我輩 at 18:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月18日

不倫物語〜その4〜

 「じじいの証拠つかんだ!」

 数日後、この家の母親が言った。「誰も協力してくれないから、自分で証拠をつかんだわけよ!」と、一人で興奮している。

 「どんな?」

 と、次女が尋ねる。

 我輩もそばで聞いていた。この家の母親の話は大体以下のような感じであった。

 まず、この家の母親は、携帯を見せないこの家の父親の不倫の証拠をつかもうと思いついた。そして、最初は、夜、一人で散歩しに行くこの家の父親の後を追って現場を押さえようとしたらしいが、これはどうもうまく行かない。何故なら、この家の父親も用心深く、後ろを振り返るので、すぐに見つかってしまうからだという。ちなみに、見つかってしまった時にどうしたかと言えば、構わず、この家の父親をどこまでも追って行ったらしい。これはもはや追跡というよりは、追いかけっこであったらしく、どうにか追手から逃れようとする
この家の父親と、逃がすものかと執念深く追ってくるこの家の母親とで、近隣をぐるぐる回っていたらしい。
 それで、この家の母親が次にとった行動は、車の後ろ座席でこの家の父親が夜車で出かけるのに乗じようというものであった。車の後ろでミイラのように仰向けとなり、シーツを被せて寝ていたらしい。が、これは、準備に手間をかけた割にはあえなく「何やってんだ?」と見破られたらしい。
 そして、最後に取った方法、それは、盗聴であった。会議用の何時間も録音できるテープをこの家の父親が夜出かけそうな時間帯に車に隠しておいたという。
 すると、案の定、この家の父親とその相手が会話をしているのが聞こえてきたというのである。

 「どうだ! これで証拠はつかんだ! 後は追い詰めるだけだ!」

 と、この家の母親が騒いだ。何も知らないこの家の父親が、のこのこと家に帰ってきたのは、その夜であった、、、、。(続く)
posted by 我輩 at 19:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月11日

不倫物語〜その3〜

 「まったく、あのじじいは何を考えているんだろうね?」

 この家の母親が中3の次女に向かって言う。

 「放っておけば。」

 この家の次女が興味もなく答える。

 「ああ、腹立つ!」

 そこへ、飛んで火にいる夏の次男が来る。この次男は、大学四年らしいが、就職はせずに大学院に進学するらしい。しかも、教授から「院で勉強してみないか?」と誘われ、推薦でもう進学が決まったという。その次男に向かって、次女が、

 「お父さん、携帯見せないんだって。不倫してるかもね。」

 と、笑いながら言う。次男は、冷蔵庫から牛乳を出してごくごく飲み、何も聞いていなかったかのように、部屋に戻ってしまった。

 「何だ、あれ? 何とか言え!」

 この家の母親が文句を言う。そこへ、この家の長男がくる。ちなみに、この長男はまだいわゆるフリーターである。しかも、就職しようとする意思がほとんど感じられず、極めてニートに近いものである。

 「お父さんに携帯見せろって言え!」

 と、母親が長男に言う。すると、長男は、

 「うるせえな、そんなら、お前も不倫しろ!」

 と、怒鳴る。何故そうなるのか。こういった「目には目を」的な思考に容易に向かう人間は、我輩の思うに、馬鹿である。あらゆる紛争の解決の道を閉ざし、あるいは、揉め事をさらに悪化させる、愚かな人間である。


 次男に無視され、長男に文句を言われ、この家の母親は、「そうやって、誰もお母さんの味方してくれないんだ。」と嘆く。

 そんな母親が取った行動は、中々映画的なものであった、、、。(続く)
posted by 我輩 at 15:52| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月09日

不倫物語〜その2〜

 「何で携帯の音を鳴らさないのか?」

 この家の母親が、絵を描いている父親に向かって言う。

 「マナーモードにしているだけだ。」

 と、この家のトウヘンボクたる父親が嫌そうに答える。が、質問には全く答えられていない。噛み合わぬ国会の答弁のようである。

 「じゃあ、携帯見せて。」

 と、この家の母親。そう言って、トウヘンボクの方へ手を伸ばす。なぜなら、携帯はトウヘンボクのふところに閉まってあるからなのである。

 「何でだ? そんな、人の携帯を見て楽しいか?」

 と、トウヘンボク。またまた、噛み合わぬ国会の答弁のようである。無論、糾問している議員に向かって、そんなことして楽しいか?と反論した議員はいなかったであろうが、、、。

 「ちょっと見るだけ。はよ、貸さんか!」

 と、目をキッとさせてこの家の母親が言う。

 「駄目だ。おれにもプライバシーってものがあるからな。」

 と、トウヘンボク。すると、近くにいた中学生の次女が、

 「携帯を見せられないのは、見せられない理由があるからじゃないの?」

 と、真っ当な論理を述べる。「そうだ、そうだ!」と母親。我輩も、とうとうこのトウヘンボクもこの次女の一言により携帯を出さざるを得なくなったか、と思ったところである。

 が、トウヘンボクは、「そうじゃない。」と言うのみであった。そうでなければ、では、何なのか、と我輩は疑問に思ったところ、ちょうどよく、この家の母親が、じゃなんで見せないのか?と尋ねた。

 すると、トウヘンボクは、絵を描きながら、

 「人の携帯をいちいち見るような人間はろくな人間ではない。」

 と、母親や次女を教え諭すように、堂々と言った。しかも、少々にやけている。

 我輩は、このとき、一瞬、頭の中がぽっか〜んとした。このトウヘンボクは今しがた携帯の件で窮地に立たされていたように思われたのであるが、それが、全く余裕の表情であるばかりか、逆に、二人に訓戒を授けたのである、、、。   (つづく)

 
posted by 我輩 at 17:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月07日

不倫物語〜その1〜

 今回は特別に、我輩の住む家で起こっている新たな紛争について、連載してみようと思う。

 実は、我輩の住む家の父親と母親は、とあることで揉めているようなのである。それは、この家の父親が他の女と密会しているのではないか、というものである。これは、人間の言葉では、不倫というものであるらしいが、中々珍しいトウヘンボクたるこの家の父親と、常人では考えられないような思考過程を有するこの家の母親の戦いであるから、我輩は興味深く観察していたのである。

 我輩の感ずるところでは、この家の父親の行動は頗る怪しいのであって、この家の母親が疑念を持つのも無理からぬものと思っている。

 当然の如く、この家の父親は断固として否定をし、一方、この家の母親は深い疑念の眼差しで、この家の父親の顔を睨んでいるのであるが、、、。

 そもそも、この紛争が勃発したのは、この家の父親の不審な行動からであった、、、。   (続く)

 
posted by 我輩 at 13:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月28日

怒る長男〜その2〜

 以前、サッカーW杯のオーストラリア対日本の試合で一人怒っていたこの家の長男であるが、クロアチア対日本の試合でも、一人怒っていた。

 試合が終った後、試合の解説者が、

 「これで、日本は次のブラジルとの試合で勝たなければならなくなりました。」

 と、いうようなことを言っていた。すると、この家の長女が、

 「あはは。ブラジルに勝つなんて無理だよ。」

 みたいなことを言う。我輩は、今にも暴れそうな長男を逆なでするようなこの長女の発言に、余計なことを言うなと思った。長男は、何も言わずテレビの画面を睨みつけている。何も言わぬのが、かえって突然爆発しそうで恐ろしい。すると、この家の長女が、

 「でも、これである意味、日本もブラジルと戦えるんだから、いいんじゃない。」

 と、また余計なことを言う。この家の母親も、

 「そうだね。ブラジルとW杯で戦うなんて、普通、決勝とか行かないと無理なんだし。」

 と、加わってくる。すると、長男が、

 「あ? 何言ってんだ?」

 と、今にも飛び掛りそうにして言う。

 「何って何?」

 と、長女。

 「今、これである意味、ブラジルと戦えてよかったって言ったじゃねえか。これでって何だよ! どういう意味だ、言ってみろ!」

 と、怒鳴る。

 「これで、何て言ったっけ?」

 と、長女。今しがた自分で言ったことをもう忘れている。それが、長男を余計苛立たせたのであろうか、

 「今、言っただろ! その、「これで」の「これ」って何を指してんだよ、言ってみろ!」

 と、叫ぶ。

 「これで? 別に何も指してないよ、馬鹿じゃないの。」

 と、長女。

 「「これ」と言うからには「これ」は何かを指してんだろ!」

 と、長男。

 「むかつく!」

 と、長女。

 「どうせ、「これ」って言うのは、日本が負けたことを指してたんだろ!」

 と、長男。そう言って、リモコンテーブルに叩き付けた。リモコンは、パッチーンと音を立てて、中から電池が飛び散り、カーテンの方に吹っ飛んでいった。

 これだから、我輩は、嫌なのである。人間には手のひらサイズでしかないリモコンでも、我輩には、意外とでかいのである。それが、高速で飛び散るのであるから、その危険性は言うまでもない。テポドンである。いや、テポドンは言いすぎであるが、バッドで殴られるくらいの衝撃はあろうかと思う。

 因みに、ブラジル対日本の試合は、この家の長男は見ないであろう、と我輩は思っていた。なぜなら、その試合は朝の4時くらいから行われるということであったから、いつも起きるのが遅い長男は、起きてこないであろうと思ったからである。

 が、四時ぴったりに起きてくるではないか。この家の父親と一緒になって、テレビを見ている次第である。この家の父親は、毎朝4時に起きるという変人であるから、驚きはしないとしても、この家の長男が起きているとは、思わなかった。

 試合は、ブラジルに何点も取られて、さぞ怒っているだろうと思ったが、そうでもなかった。あまりに点を取られすぎて、怒る気にもなれなかったのであろうか。
posted by 我輩 at 00:19| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月16日

怒る長男

 この前、この家のふらふら長男が、サッカーのW杯の日本対オーストラリアを見て、一人で怒っていた。

 サッカーしか能がない人間である。だからなのかもしれないが、オーストラリアに一点目を入れられた時から、機嫌が頗る悪い。

 「何で、あそこで小野を入れたんだ!?」

 と、何度も怒鳴り散らしていた。

 「あそこで大黒とか玉田とか入れるのが普通だろうが! 両サイドにスペースがあるんだからよ! オーストラリアにとって一番嫌なのは、元気のあるフォワードが入ってくることなんだよ!」

 みたいな、分けの分からぬことを、画面に向って喚きたてていた。丸めた新聞紙でテーブルをどかどか叩いて、非常にうるさかった。こういう人間こそ、近くにいて迷惑な人間というものであろう。

 「うるさい!」

 と、中学生の次女が、たまりかねて文句を言う。すると、

 「うるさいのは、お前だ!」

 と、また怒鳴る。が、うるさいのは、お前である、と我輩は言いたかった。

 「ジーコの馬鹿野郎!」

 と、長男。

 「ジーコだって必死にやってるんだから、馬鹿なんて言うものではない。」

 と、どこからかこの家の父親の声がする。周囲を見渡すと、部屋の隅っこのソファで横たわっていた。影の薄い人間である。声を出すまで同じ部屋ににるとは思わなかった。

 結局、日本は3対1で負けた。後半の残り10分で三点入れられ、逆転負けであった。

 その後、この家の長男が、壁やテーブルなどに対して、八つ当たりをしたことは、言うまでもない。

 

 
posted by 我輩 at 19:07| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月08日

不気味な次男

 昨日の夜、大学生の次男の寝ている部屋に忍び込んだ。

 すると、次男はうなされていた。我輩は、恐くなり、音を立てずに部屋を出た。

 最近の次男は、誰ともあまり口をきかない。ふらふら長男の冗談に、この家の他の者たちが笑っても、この次男は苛々したような顔をしている。何を考えているのだろうか、、、。

 
 
posted by 我輩 at 22:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする