2006年03月17日

もう一人のじいさん

 この家の母親の父親については、前回に述べた。因みに、顔は読売のナベツネに似ているらしい。

 では、この家の父親の父親であるが、95歳にして今だ目が爛々としていて、全くぼけていない。

 ナベツネに似ているじいさんは、小泉総理大臣のことを「暗殺しなければならん。」などと恐ろしいことを言うじいさんであるが、こっちの95才のじいさんは、小泉氏に対して、全くの逆の評価をしている。

 「小泉は、あれは滅多にいない政治家だ。」

 これが、95才のじいさんの言葉である。この家の父親に、つまり自分の息子にそう言っているらしい。

 この家の父親は、何故かうれしそうにそう話す。(理由が知りたければ、
http://wagahaitotenekodearu.seesaa.net/article/10876744.htmlを参照。)

 このじいさんは、筋入りの愛国主義者である。国家神道の復活を念願している。その影響を受けてか、この家の父親も神道、神道と言っている。

 このじいさんの年賀状には、でかでかと「皇国」と書いてあるらしい。

 我輩は二人のじいさんが出くわしたら戦争でも起こりそうな気もするが、現実は全く違うらしい。正月などには、ナベツネに似ているじいさんが、95歳のじいさんの家に行き、お元気そうで、と挨拶しに来るそうである。

 
 
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2006年03月14日

この家の二人の祖父

 この家には二人の祖父がいる。この家に一緒に住んでいるわけではないが、それほど遠くない場所に住んでいる。

 ところで、この二人のじいさんは、いづれもこの家の家族に劣らぬ変人なのであった。

 片方のじいさんについては以前もここに書いたような気がする。そう、「おれはあと一週間で死ぬんだ。」と言って祖母に己の通帳やら印鑑を渡しておきながら、一週間経ってもご飯をおかわりなどして旨そうに食っていたあの元校長のじいさんである。因みにこれは、この家の母親の父親である。

 もう片方のじいさんについては、まだ述べていなかったろう。これは、この家の父親の父親であるが、このじいさんは、現在95歳にして今だ痴呆症にもかからず、老いては子に従えという諺に反して老いても子を下僕のように従わせているじいさんである。以前は国語の教師であったらしい。部屋には本がずらりと並んでいると聞く。

 我輩は直接お目にかかったことはないが、この家族の会話から推測できる範囲で二人のじいさんの異同を比較してみようか。

 まず、根本的な政治思想というものが全くの逆である。この前、一緒にご飯を食べたという長女が言っていたのであるが、元校長のじいさんは、

 「小泉の政治はひどい。ああいうやつは暗殺しなきゃいかん。」

 と、レストランに向かう車の中で言ったらしい。それを聞いたそのばあさんは、

 「そんなこと言うものじゃない!」

 と、お怒りになったらしい。

 また、聞くところによると、このじいさんの家にゴールデンウィークに行くと、決まって憲法9条の話が出てきて、じいさんが戦争放棄やら平和主義やらについて一人で語りだすらしい。なぜなら、5月3日は憲法記念日だからである。

 語っているじいさんに向かって、ばあさんは、「そう、そんなに言うなら、自分が総理大臣になったらいいのに。」と、軽い厭味を与える。

 馬鹿にされたじいさんであるが、何故か、満足そうな表情をしていたらしい。どうやら、ばあさんの趣意を誤解して、「あなたが総理大臣だったらどんなに世の中は良くなることだろうか」、という意味にでも取ったのであろう、、、、。

 少々、元校長のじいさんの方の叙述が長くなってしまった。次に95歳のじいさんの方について述べたいところであるが、それは、また次回にしよう。我輩はこれから出かけねばならないのであるから、、、、、。  (続く)
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2006年03月06日

暗い本

 昨日、大学生の次男が居間のソファに座って本を読んでいると、この家の母親が首をぬうっと近づけてきて本のタイトルを見た。そして、

 「三島由紀夫かあ? 止めておきな。そんな暗い本読むな。そういう本を読んでると、精神がやられる。もっと明るい本を読みな。赤瀬川源平とか、さくらももことか。」

 と、うるさいことを言う。次男は、無視して本を読んでいる。すると、母親は何を思ったのか、「ちょっと待ってな。」と言って、部屋の隅っこ積み重ねられた本の中からさくらももこ氏の本を抜き出してきて、

 「ほら、これ読んでみな。面白いよ。」

 と、言って、次男の脇に置く。

 次男は無視している。

 すると、母親は脇に置いた本を拾い上げ、本のページを開いてから、

 「ねえ、ここ読んでみな。」

 といいながら、次男の肩にその本を押し付け始める。次男は、さすがにやや苛立ったと見え、「なんだ」と、不快そうな声を出す。

 その辺りで止めておけばいいものを、この家の母親は、

 「いいから、一回読んでみな。面白いから。」

 と、言って今度は、次男が読んでいた三島由紀夫氏の本に、さくらももこ氏の本をぶつける。さくらももこ氏の不意打ちを食らった三島由紀夫氏は、次男の両手に支えられていたにもかかわらず、すとんと下に落ちてしまった。

 ちっ、と次男は舌打ちする。そして、母親からさくらももこ氏の本を受け取ると、氏の本を部屋の隅のほうに投げた。そして、三島氏の本を拾ってまた読み始める。

 母親は、「親の言うことは聞け。」と言い残して、行ってしまう。

 確かに、次男のような人間が三島由紀夫氏の本を読んでいるのは、不気味であるが、そうだとしても、本人が読みたいというなら仕方ないであろう。

 団子が好きな人間が、団子が嫌いでカステラが好きな人間に向かって、「カステラは止めておけ、絶対団子の方がおいしいからこっちを食え」と言っても、食うはずがない。まあ、そういうことであろう、、、。    

 何でも食い物に喩えてしまって、申し訳ないのであるが、食い物に喩えると、みな深く理解してくれるので、そうしたまでである。
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2006年03月04日

長女のボウイフレンド

 今日、この家の長女が家に男子の友達を連れて来た。どんな男子だろうと思って顔を見たら、目がブルーで髪が金髪の外人であった。

 名はヨハネスというらしい。長女は中学時代から磨き続けてきた英語を得意気に披露している。普段と違って、余計なことまでべらべらと話している。また、普段は、我輩のことなど見向きもせぬくせに、いきなり我輩の方へ来て我輩を持ち上げながら、「どう、この猫。可愛いでしょ?」などと外人男子に言う。

 他の家族も外人男子に挨拶していた。  

 「ナイス・トゥー・ミー・チュー、だよな?」

 などと、日本人丸出しの発音で、この家の父親が言う。

 中学生の次女や大学生の次男も挨拶をした。

 が、この家の母親だけは、敵意を剥き出しにしている。どうやら、この外人男子をよく思っていないようである。なるほど、この外人男子は、紳士というよりも、ニューヨークかどっかの若者の集まる通りで地べたに座り込んでいそうな感じである。

 コタツでお茶を出しながら、この家の母親は、ヨハネスなる外人男子を質問攻めにする。

 「大学では何を勉強していたんですか?」

 あああ、や、ええと、ええと、など変な日本語を交えながらも何とか英語で質問している。

 「国際関係を専攻していました。」

 ヨハネスが答える。すると、この家の母親は、「国際関係のどういうところが面白いですか」という質問を皮切りに、

 「アメリカのイラク戦争についてどう思いますか?」
 「ブッシュ大統領についてどう思いますか?」
 「アメリカは何故、京都議定書にサインしなかったのですか?」
 「小泉首相についてどう思いますか?」
  
 と、国際政治に関する質問を拙い英語で立て続けにする。ヨハネスは上手く答えられない。何だ?何だ?という感じでとまどっている様子である。

 つまり、我輩の思うに、この家の母親が意図していたことは、「国際関係なんていっているけど、どうせ真面目に勉強しないでちゃらちゃらと遊んでいたんだろう、そんな奴と家の娘は付き合わせないぞ、これ以上、娘に近付くな。」と言ったところであろうか。

 ヨハネスなる男子が帰ると、母親は長女に向かって、

 「変なの連れて来るな。付き合うなら結婚しろ。結婚を考えてないなら付き合うな。それが家の考え方だ!」

 と怒る。

 今後、ヨハネスなる男子は、もうこの家には来ないであろう、、、。

 グッド・バイである。ついでに、フォーエバーの様相を呈している。

 自分の国に帰って、いい人を見つけて頂きたい。   (終)

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