2006年02月27日

いい言葉?

 「ありがとう。感謝します。自分はついている。毎日こう言うと幸せになる、ってB町の叔母さんが言ってた。」

 と、この家の母親が他の家族に言う。そして、

 「だから、今度からお母さんも、ありがとう、感謝します、自分はついているって毎日言うことにした。」

 と、続ける。

 それを聞いていたこの家の父親は、「その通りだ。いい言葉を使うと人間は良くなるのだ。」と、うんうんと何度も頷く。もしそうなれば、この父親に対する母親の言葉も「何やってんの、ほんと馬鹿だねえ。」という呆れた呟きから「ありがとう、感謝します。」という感謝の言葉へと一変するわけであるから、喜ばしいことである。

 「この家を支えているおれにも、たまには感謝しないとな。」

 この家の父親が、感謝の言葉を期待してか、突如としてこんなこと言う。

 「ああ、ありがたい、お父さんがちゃんと稼いでくれるから、みんな食べていけるんだよねえ。」

 と、この家の母親。

 「そうだ、おれが働かなかったら、みな飢え死になんだ。」
 
 と、父親。満足そうに笑っている。

 「ああ、ありがたい、ありがたい、感謝、感謝。」

 と、母親。

 が、我輩には、何だか怪しい宗教の信者のように思われた。   (終) 
 
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2006年02月13日

トリノオリンピック

 トリノでオリンピックなる競争が始まっていると聞く。

 誰が一番速いかとか、誰が一番長く飛べるかとか、そういうことを競っているらしい。テレビを見ながら、この家の父親が、

 「トリノは遠いのう。」

 などと、駄洒落のようなことを言って、一人でにやにやしながら他の家族の顔を覗き込んでいる。気持ち悪いだけである。

 この家の中学生の次女も、

 「トリノオリンピックに出れる動物は何でしょう?」

 などと、他の家族に問題を出している。我輩は、もしトリノオリンピックなる偉大な大会に出場できる動物がいるとするならば、それは間違いなく我が猫族であろう、と思った。

 「分かんないの?」

 と、次女が周囲を見渡す。

 「ゴリラか?」

 と、父親が言う。

 「え? 何で?」

 と、次女が聞き返す。

 「オリンピックは、五輪だろう? ゴリンだからゴリで、ゴリラだ。正解だろう?」

 と、父親。ゴリンの「ン」はどう解釈するのか、この馬鹿、と我輩は心の中でつぶやく。

 「はずれ。」

 と、次女。そして、側にいた大学生の次男に「分かる?」と尋ねる。次男は、「鳥。」と無造作に言う。我輩も、なるほどそういうことかと合点が言った次第である。

 「ピンポーン。」

 と、次女。そして、「さすが、お父さんとは出来が違うね。」と、余計なことを付け加える。父親の顔がやや曇っている。

 「何で、鳥なんだ?」

 と、父親が少しの憤りを込めて尋ねる。まだ分からぬと見える。余程おつむが硬いのであろう。

 「まだ分かんないの? 鳥のオリンピック、鳥、のオリンピック。」

 と次女。

 「なんだ、駄洒落じゃないか。はははっ。くだらない。」

 と父親。先ほど自分で駄洒落を言ってニヤニヤしていたくせに何を言っとるか。我輩は甚だ滑稽な気がした。   (終)
posted by 我輩 at 21:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月09日

不潔ということ

 今日、この家の母親が、父親が風呂に入るや否や、

 「あれ、いつまで同じ下着着てるんだろうね。」

 と、近くにいた長女に言う。この家の父親はもはや、「あれ」である。「お父さん」などと呼ばれていたかつての栄光は、今やすっかり影をひそめ、物と同様の扱いぶりである。

 「そんなの知らん。」

 と、長女。父親自体に関心がないのに、父親の下着など知るものか、と言った感じである。

 「お母さんが新しい下着を洗面所に置かないと、いつまでも同じの着てるんだよ、あれは。」

 と、苦笑しながらこの家の母親が言う。

 「前なんて、一ヶ月も同じパンツはいていたんだよ。」

 と、さらに母親。顔面が歪んでいる。

 「普通、着替えるよね。不潔だ、ほんとに。」

 と、さらに母親が顔をしかめる。

 すると、そこへ長男が来て、「おれだって、一ヶ月くらい同じパンツをはくぞ。」と言う。父親を弁護しているつもりなのか知らぬが、母親と長女はげえっという顔をする。

 が、長男は一向に気にしない様子である。怯むどころか、

 「へへへっ、冬は汗をかかないから、一ヶ月でも二ヶ月でもはけるのだ。」

 と、笑う。どうやら、この家の父親の不潔遺伝子が、確かにこの長男にも流れているようである。

 我輩の思うに、我輩猫族とて風呂には入らぬし、そこにいる飼犬ジョン氏も風呂になど生まれてこのかた一度も入ったことがないし、氏が一度無理矢理水を浴びせられた時などは、きゃんきゃん鳴いて抵抗する始末であった。

 この家の父親や長男が同じパンツを何年装着し続けようが、我輩には別段何とも思わぬけれど、、、。   (終)

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posted by 我輩 at 01:08| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月07日

久し振りに更新

 最近、忙しくて中々更新できぬのである。そのせいで、ブログランキングも、十位くらいから百位くらいに転落していた次第である。

 この家の家族も中々面白いことをしてくれぬので、あまり書くこともない。我輩の印象の強い最近の出来事といえば、この家の父親が、一人で部屋でカップラーメンを食べていたことくらいである。

 我輩はこの父親の部屋に入ると、父がもぞもぞと頭を上下させていた。

 何か食っているに違いない、と我輩は思った。

 そうして、父親の正面を向いたら、カップヌードルという干乾びた麺にお湯を注いだだけの食物であった。

 大して旨いものでもなさそうだ、とややがっかりした次第である。   (終)

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posted by 我輩 at 12:45| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月01日

グッパー体操

 今日の夜、この家のぐうたら母親がコタツの横に立って、変な運動をしていた。

 我輩は、何だこの人間は、と無気味に思ってその姿を注視していた。

 腰をフリフリしながら、両手をグーやパーにして一人でもがいている。

 高校生の三男がその側を通ると、このぐうたら母親は、

 「グッパー体操は、体にいい。」

 など、と満面の笑みを浮かべながら、奇怪な動きをしている。そして、「裕紀にも教えてやるよ。」と、言って三男の方を見る。三男は、

 「誰がやるか。」

 と、明確に拒否した。しかし、このぐうたら母親は、誘うのもやめるどころか、説明を始めた。

 「簡単だし、体にいいんだよ。ええとね、こうやって腰を振りながら、両手を叩いてパー、広げてグー。ほら簡単だ。」

 しかし、ぐうたら母親が振り向くと、三男の姿はもうない。説明を聞かずに行ってしまったのである。

 残念。

 そもそも、そんな奇天烈な動きは、ぐうたら母親一人でやるべきである。三男なぞ巻き込むべきではないのである。仮に、そのグッパー体操か何だか知らぬが、そのグッパー体操をぐうたら母親と三男が二人揃ってこの狭苦しい部屋で始めたならば、我輩としてももうこの家には住まぬつもりである。

 近所の猫に、「お前の家の人間は、変な運動をするようだな。きっと危ない宗教団体の一員なんだろう。」などと言われるのは御免なのである。   (終)

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posted by 我輩 at 20:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする